初心者が学ぶアートの楽しみ方(その1)
このブログをお勧めするのは、アートの楽しみ方を知りたい方々です。
私自身はアートについては全くの初心者ですが、目利きが書いた本の特徴や学びをご紹介します。
読み終わるころにはきっと、本を買ってお気に入りのカフェでお茶を嗜みながらパラパラとページをめくり、そのままふらっと美術館を訪れたくなるでしょう。
今年は『芸術の秋』にしてみませんか?
目次
本の概要
改めて、今回ご紹介するのはこちら本です。
題名 |
アート鑑賞BOOK この一冊で《見る、知る、深まる》 |
アート鑑賞、超入門! 7つの視点 |
---|---|---|
作者 | 三井一弘さん | 藤田令伊さん |
出版年 | 2017年12月 | 2015年1月 |
ページ数 | 310ページ | 203ページ |
価格 | 980円+税 | 720円+税 |
学べること | アートを楽しむための知識や見方 | アートを味わうための批判的見方 |
どちらも、わかりやすくアート鑑賞の楽しみ方を教えてくれる本で、初心者の私も楽しみながら読むことができました。
ちなみに私は自分で作品を創らないので、芸術を“創る”ほうを学びたい方々にとって面白い内容かはわかりません。
2冊を比較すると、手軽に楽しみながら読むには『アート鑑賞BOOK』、考えながら読むには『アート鑑賞、超入門!』が向いていると思います。
それぞれの本の特徴や、学んだことを下方でご説明するので、参考にしてみてください。
好みに合いそうなものを選んで1冊だけ読んでみるのも、両方読んでみるのも良いと思います。
私自身は、『アート鑑賞BOOK』を読んでから『アート鑑賞、超入門!』を読みましたが、この順番が合っていました。
最初から『アート鑑賞、超入門!』を読んでいたら、アートへの堅苦しい印象が抜けなかったでしょう。
一方、『アート鑑賞BOOK』だけを読んでいたら、作品を深い視点で見ることができなかったと思います。
『アート鑑賞BOOK』
では、ここから本の特徴や、読んで学んだポイントをお伝えします。
特徴
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挿入画が多い
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エピソードが多い
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視点が多い
① 挿入画が多い
本はカラー印刷で、作品について解説しながら実際の作品を多く見せてくれます。
これは、私のような初心者にとって大事なことです。
話の中で「ラファエロの〇〇が~」と言われても、私は絵をパッと思い出せるほどの知識を持ちあわせていません。
だからと言って逐一調べるのは、時間もかかるし場所も選ぶし、億劫なものです。
そのため、絵が本に載っていることで、簡単にイメージすることができました。
② エピソードが多い
本の中には、古典美術から現代アートに至るまでの過程や、名画が生まれた背景が書かれています。
これがとても面白く、「なぜ名画が名画なのか」が分かる内容となっています。
例えば私が驚いた例を挙げると、モンドリアンの抽象画が持つ意味です。
『黄・赤・青と黒のコンポジション』と名付けられたこちらの絵は、1921年に作られた現代アートです。
比較的有名なので、見たことがある方も多いのではないでしょうか。
私自身、この作品は幾何学的で素敵だと思っていました。
一方で、なぜこの絵が美術館に飾られているのか、と疑問に思ったこともあります。
確かに配色は綺麗ですが、定規があれば(もしくはパソコンがあればより)簡単に作れてしまう気がします。
実はこの絵は、印象派の二大巨匠、モネとセザンヌの作風を取り込んでいるそうです。
色の三原色で光の三原色をキャンバス上に表現しようとしたモネ。
(著作権フリーが簡単に見つからなかったので掲載は断念しました)
この二人の要素を取り込んだ表現が、『コンポジション』(構成)シリーズである、ということです。
背景を知ると、この直線と3色だけの絵も「すごいな」と思えてきませんか?
まだよく分からないという方も、本を実際に読んで絵画の歴史を振り返ると、分かっていただけるかもしれません。
また、本書ではディーラーならではの贋作にまつわるエピソードや、アートにまつわるゴシップなども紹介されています。
気軽に楽しみながら読むことができます。
③ 視点が多い
アートを楽しむための視点が多いことも特徴です。
例えば「作品だけでなく額縁にも注目しよう」と時代や国別の代表的な額縁を紹介してくれたり、
「アートとワインのマリアージュを楽しもう」とおすすめのペアリングや筆者の解釈を教えてくれたりします。
他にも、実際にアートを買う立場になって眺めるために、
家の場所別に作品の選び方のコツや、実際に購入する際のポイントも教えてくれます。
実際に所有することはできなくても、この絵はどんな額縁でどこに飾ろう?と妄想する楽しみがわかります。
学んだこと
アートの楽しみ方は、特徴の部分でもいくつかご紹介しました。
そのためここでは、本書内で言及されていた、最近のオークションで絵画に高値がつく理由を簡単にまとめます。
高価で落札される度にニュースになる絵画。
現在は、2017年時点に売買されたレオナルドダヴィンチ作の『サルバドール・ムンディ』が史上最高額で取引されたようです*1。
価格は、4億5030万ドル。
もはや、1億ドルと4億ドルの違いが良く分かりません。
とりあえず、巨匠たちが描いた傑作(マスターピース)は価格が高騰しているようです。
理由は、本書によると
新たに生まれる富裕層の数 >> マスターピースの数
であり、需要に対して供給が圧倒的に足りていないからだそうです。
市場に供給される可能性があるのは、基本的にコレクターの手元に残っている作品に限られます。
それ以外の傑作は、美術館に収蔵され、市場に出回りません。
また、寄贈の文化がある欧米では、コレクターが美術館に寄贈してしまい、市場からどんどん供給される(可能性のある)作品が減ってしまうのです。
長生きするアーティストでも、生涯に作れる作品の数は限られているので、アート市場は常に供給不足と言えるでしょう。
よって、オークションに出品されたときには、価格が高騰するというわけです。
とはいえ、庶民である私にとっては、美術館にある作品の方が気軽に見られるもの。
これからは、寄贈作品をありがたく鑑賞しようと思います。
以上が、本の一部のご紹介です。
実際の本はこちらから確認できます↓
もう一冊の 『アート鑑賞、超入門!』については、次回のブログでご紹介します。
どうぞお楽しみに。
最後までお読みいただきありがとうございました!